「君たちはどう生きるか」小二の娘にはまだ早いか?

「君たちはどう生きるか」は2017年に大ヒットした漫画です。原作は同名の教育本。なん1937年の出版されたものだそうです!生き方について考えるきっかけとなる1冊で、教育の現場でも注目をされているそう。小二の娘に読んでもらうために購入しましたが、きちんと説明できるよう、まずは私自身が読んでみることにしました。

君たちはどう生きるか

あらすじ

舞台は1930年代の日本。15歳のコペル君こと本田潤一少年が主人公のお話です。3年前に父親を亡くしたコペル君は、母方の叔父と暮らしています。コペル君は日常で起った様々な問題を観察し、叔父とのやりとりを通じて考えを深めていくという話です。

話の中で叔父はコペル君に「自分の頭で考えること」を繰り返し伝えています。これがこの本のキーワードとなっています。情報過多で判断をすることが難しい現代にも通じるポイントではないでしょうか?

世の中の反応

世の中の反応を見ると、「君たちはどういきるか」をとても好意的に捕らえているのがわかります。

例えば「尾木ママ」として有名な教育評論家の尾木直樹さんもこの本を読んでいます。尾木さん曰く、「原作は決して易しい本ではなく、漫画版も時代設定についていくための根気が必要」とのこと。確かに、原作は古風な文体になっているため、読むのは難しそうです。現代と社会事情や文化が大きく異なるため、そこに捕らわれると読み進めるのには苦労をするとかもしれません。

また尾木さんは、「自分の頭で考える前にスマホが答えを教えてくれる時代に生きる子供にとっては難しいかも」と当初は考えていたようですが、「特に思春期は自分という存在を突き詰めて考える時期なので、スマホ時代の若者こそ、この本が響くのかもしれない」とも仰っています。

学校だけではなく、塾や習い事に忙しい現代の子供たちは、じっくりと自分と向き合い、自分の生き方について考えるのは大変かもしれません。漫画とは言え、小二の娘に「君たちはどう生きるか」は難しいかとも思いましたが、尾木さんの言葉に背中を押されました。生まれたときから高度な情報に囲まれている娘にとっては、自分の頭で考えられるようになるためにも、読むのが早いに越したことはないでしょう。

反論も

評価の高い「君たちはどう生きるか」ですが、反論もあります。イスラム法学者の中田考さんはみんなちがって、みんなダメという本を書かれています。金子みすずさんの詩を模したような題名ですが、「君たちはどう生きるか」への反論も含まれているようです。

みんなちがって、みんなダメ

とても真面目な本なのに表紙が漫画なのでもったいないと思ってしまうのは私だけでしょうか。

「できもしないのに身の丈に合わないことに挑戦し、失敗して満たされないこともある。ダメな自分でもいいんだ」という内容で、イスラム教に詳しい学者ならでの目線で書かれています。イスラム教って、現代ではテロの印象が非常に強いですが、元々は寛容な宗教です。神の前でダメな自分を認めることは、謙虚さでもある、という考えが根本にあるのでしょう。

こういった考えも一理あるかと思ってしまいました。自分の頭で考えて行動すれば、必ず報われるというわけでもありません。いい意味で他人に委ねてしまおうという寛容さも、息苦しい現代の中では必要かも?と思いました。

まとめ

原作は昔のものでありながら、現代に通じる色褪せない大切なことについて書かれていました。自分の頭で考える癖をつける、いいきっかけになると思うので、娘にもぜひ読んでもらいたいと思いましたが、小2にはちょっと早いかな?